2025年の夏は、またも猛暑の予報! 冷房強化、外遊び支援で放課後児童クラブには緊急の補助金が必要です。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。2025年の夏も、猛暑になりそうだという予報が出ました。このところ毎年、猛暑続きと思えます。児童クラブにとって猛暑は本当に困ります。国は本気で、児童クラブの猛暑対策を講じてください。「酷暑対策補助金」を緊急に実施してください。現状ではそのうち、大事故が起きますよ。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<今年「も」、猛暑の予報>
 2022年も2023年も2024年も、猛暑でしたね。2025年も、猛暑になりそうです。気象庁が、今年6月から8月の見通しを2月25日に公表。気温は平均より高いとのことです。このニュースを伝えている、日本気象協会の「tenki.jp」の記事を一部引用します。見出しは「この夏「また猛暑」予想 梅雨時期や夏の大雨にも注意 暖候期予報」です。(https://tenki.jp/forecaster/gureweather/2025/02/25/32672.html)

「気象庁は今日25日、この先の夏(6月~8月)の天候の見通しについて発表。この夏は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、全国的に気温は平年より高い予想。近年続いているように「また猛暑」となる見込み。降水量は全国的に平年並みで、梅雨どきから夏の大雨にも注意が必要。」
「昨年2024年の夏は、統計を開始した1898年以降の夏として、2023年の記録と並び、最も暑い夏となりました。そして、今年2025年の夏も「また猛暑」となる予想が発表されました。この夏は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、全国的に気温は平年より高くなる予想です。近年続いているように、また暑い夏となる見込みです。」
「この2月は寒波の影響が長続きしましたが、この先は急に気温が上昇する日も増えそうです。5月の早い段階から熱中症に注意が必要となるでしょう。春の早い段階から、暑さが予想される日は帽子をかぶる、水分をこまめに補給するなど、熱中症対策が必要となりそうです。」
(引用ここまで)

<児童クラブが、猛暑で困る理由>
(1)熱中症のリスクが極めて高いのです。なぜなら、「大人数の子どもたち」を「(ほとんどの地域で)それほど広くない、というか狭い施設の中で過ごさせる」、さらに「施設によっては強力なエアコン、新しいエアコンがなく、年代物のエアコンや、家庭用のエアコンを使っているので冷房能力が貧弱」だからです。

(2)外遊びが思うようにできないことによる、子どもたちの心理面への影響。特に、夏休みのように朝から夜まで、子どもたちが長い時間、児童クラブで過ごすとき、毎日、ずっと、施設の建物内で過ごしていたら、体を動かして遊びたい多くの子どもにとってストレスがたまります。結果、ささいなことで子ども同士、あるいは子どもが職員に向かってのトラブルが起きやすくなります。発散できないのですね。これは、冷房がしっかり完備してキンキンに冷えている施設であっても、変わりありません。

(3)昼食、おやつの食中毒リスクが高まる。児童クラブはほとんどの場合、子どもが持参してきた弁当を適温で保管できるような保管庫、保冷庫は設けていません。せいぜい、弁当に凍らせたゼリーを同梱させてなるべく温度を低く保たせるぐらいの工夫しかできません。また、最近増えている昼食提供ですが、そのほとんどを占めている「弁当の配達」にしても、保管に関して留意が必要です。凍らせた弁当を配達してもらうことになりがちですが、温度管理が難しく、タイミングを誤ると凍ったままの弁当を食べる羽目になります。おやつも、調理から提供までの時間の間、厳重な管理が必要ですが。なお児童クラブは「家庭の延長」という位置づけであり、業務において飲食提供が業務とされていないので飲食店のような設備面の細かな決まりはありません。

<国には、カネを出してほしい。さらに口も出してほしい>
(1)冷房機能を強化するための補助金を創設してください。市区町村が遠慮なく予算化できるように、国10割の補助金にしてください。そうすれば市区町村は遠慮なく年度内の議会で補正予算を組めます。いいですか、多くの児童クラブは大規模の状態です。放課後全児童対策事業であれば希望する世帯がもれなく利用できるので、よほど人口そのものが少ない地域を除けばなおさら大規模状態、過密状態です。冷房が十分に効かないために室内での熱中症の恐れがあるのです。熱中症は、直ちに医療機関が保健所に通知するような重大な疾病です。子どもの安全、安心を確保して当然の児童クラブで熱中症になるなんて、ありえません。まして室内での熱中症など断じて起こしてはなりません。
 ところが児童クラブでは、いまだに古い施設が大変多いです。保護者運営や保護者運営由来の非営利法人が運営するクラブでは、エアコンを保護者からの寄付でまかなっている施設もあります。引っ越していく保護者が置いて行ってくれたり、新しいエアコンに買い替えするときに古いエアコンを譲ってもらったりするものです。そういう古いエアコンは電力ばかり消費して、なかなか効きが良くありません。そういう児童クラブは決して少なくありません。
 エアコンの買い替えまたは増設の補助金をぜひとも創設してください。いいじゃないですか、確実に経済を回すためのお金になるのですから。「酷暑対策補助金」が児童クラブに必要です!

(2)熱中症に並んで、とりわけ児童クラブの事業の本旨からして、「猛暑の間、外遊びをやむなく制限すること」の弊害は深刻です。児童クラブは、子どもが遊びを通じて育っていく場です。社会的な規範、決まり事(ルール)を守ることを遊びながら学んでいくのです。その遊びが猛暑ゆえ制限されてしまう。日中の炎天下で、外遊びをさせてはなりませんが、代わりに子どもが体を動かして遊べる工夫が必要です。
 よって、国は、積極的に市区町村に対して、夏の間の児童クラブの遊びを保障するため必要な事項について徹底するように、指導を行ってください。必要な事項とは、「学校施設の児童クラブに対する開放。体育館の利用を優先させる。あるいは自治体が管理する地区の体育館や遊戯スペースを開放する」ことです。学校側の管理者がいないから不可能だ、とはならないように、市区町村が必要な人員を手当てする、あるいは児童クラブに対する人件費の補助を増やすなどして人員を確保できるような方策を実施できるようにすることが必要です。
 冷房が効いた体育館や公民館などが存在しない、という状況では、冷房が効いて体を使える民間のスポーツクラブの児童クラブ入所児童の利用に対して補助をする、という方策も良いでしょう。とにかく、「子どもが、体を動かして遊べる機会の確保」が必要です。
 児童クラブのインターネット環境、通信環境を整備して、ネットでできるスポーツ体験、私は未経験で詳しくないのですが「eスポーツ」を児童クラブでできるようになることも効果的ではないでしょうか。そのための通信環境整備に、ICT補助金を拡大拡充するのも有効な策だと考えます。

(3)弁当の保冷庫や、大型冷蔵庫の購入費用に対する補助金を創設してください。これも国10割でお願いします。そんなに多額の予算が必要ではないでしょう。全国で数十億円あれば事足りる金額ですよ。それで、子どもの健康被害のリスクを軽減できるのですから、また機器を販売する事業者も喜ぶのですから、いいことばかりじゃないですか。

<児童クラブ側も創意工夫を>
 これほど猛暑の夏が続くとあれば、猛暑の中での児童の受け入れ、子どもが過ごす時間の工夫が、児童クラブ側にも必要です。外遊びが制限されるのであれば、では室内でどこまで子どものストレスをそれなりに発散させつつ過ごさせることができるか。エアコンの効き目がないことは工夫ではどうにもなりませんので市区町村の担当課に強く要望するとして、少しでも子どもたちの過ごす時間が充実できることを念頭に、どういう工夫ができるかを考えることは大事です。ここで「国は、役所は、まったく児童クラブを軽視している」と文句ばかり言っていても、何も変わりません。文句を言うなとは言いませんが、少しでも子どもたちのためになる工夫を考えるのも、児童クラブ側には必要です。

 いくら猛暑とはいえ、児童クラブで、熱中症や、猛暑による影響の健康被害を生じては断じてなりません。予算をケチったせいで子どもの命、生命身体に影響を及ぼすような国が、豊かな国であるはずはありません。こども家庭庁は「こどもまんなか社会」を目指すなら率先して猛暑対策を講じてください。そのためにも、こども家庭庁の幹部や、大臣は、「設備が整った、都心部にある立派な児童クラブ」ではなくて、「児童数が70人も100人もいる大規模状態で、築数十年のプレハブ施設で運営している児童クラブ」を見に行って、そこの職員や子どもたちから、話を聞いてください。

 最後に。気象庁の予報では、5月から気温が高くなるとのこと。気温の高さに体が順応していない時期は、気温が30度前後であっても子ども、職員の熱中症の危険が高まります。「暑熱順化」が十分ではない時期ほど危険、ということです。気温25度以上は夏日ですから、25度以上になったら熱中症対策を講じましょう。児童クラブの運営者は、「5月を過ぎたら熱中症対策!」を肝に銘じておきましょう。

 <おわりに:PR>
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「リアルを越えたフィクション。これが児童クラブの、ありのままの真の実態なのか?」 そんなおどろおどろしいキャッチコピーが似合う、放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。「がくどう、序」というタイトルで、2025年3月10日に、POD出版(アマゾンで注文すると、印刷された書籍が配送される仕組み)での発売となります。現在、静岡県湖西市の出版社に依頼して作業を進めております。
 埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった、元新聞記者である筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分、活用できる内容だと確信しています。ご期待ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)